不利益事実の不告知があり購入したマンションの契約を解除できるケース
購入したマンションは、販売業者が「眺めも日当たりも良好です」と勧めてきたもので、その言葉を聞いた上でAさんも現地に足を運ぶなどして、購入を決定しました。
ところが購入から半年後、隣に大きなビルが建設されて、眺めも日当たりも悪くなってしまいました。
そしてさらにショックだったのが、実はAさんに今のマンションを勧めた業者は、このビルの建築計画をあらかじめ知っていたのです。
騙されたと思ったAさんは、販売業者に対し契約の解除を申し出ようと考えています。

マンションは生活の拠点となるものですから、大半の方は、日当たりや眺めなどの色んな希望や条件を出して、それで購入を決定すると思いますし、かなり高額な金額になり、恐らく一生で一番高い買いものになると思います。
法的に見ると、消費者契約法というのがあり、消費者契約法とは事業者と消費者との色々な契約について、消費者を広く保護する目的で作られた消費者を守る為の法律です。
今回のケースでは販売業者が「予め知っていたのに言わなかった」ということで、もし知らかった場合は契約の解除は難しいですが、販売業者が予めその建築計画を知っていたにもかかわらず、Aさんに告げなかった点がやはり問題になってきます。
これは消費者契約法では「不利益事実の不告知」ということになります。
消費者契約法では消費者の方が聞かなかったからということまでは要求しておらず、あくまで事業者に関して、そういう説明をしなければならないということになっており、聞かなかったということではなくて、言わなかったことが問題だということになります。
そうすると、Aさんの場合は、消費者契約法に基づいて契約の解除、取り消しができるということになります。
ただし、その取り消しの期間があり、取消しができるのはビルが建つということを知った時から6か月間、または契約の日から5年内のどちらか早い方までと決まっています。
この取り消しの期間を過ぎた場合には、消費者契約法は使えないので一般原則に戻って民法になります。
民法で、例えば詐欺による取り消しなどで契約を解除するということも考えられますが、裁判になって立証しなければいけないとなるとかなり難しいです。
従って、可能であれば消費者契約法を適用できるように、早いうちに手を打ったほうがいいということになります。
今回のケースの結論は、契約の解除はできるが、期間が限定されるので、その点は注意が必要だということになります。
関連記事
-
-
友人同士の借金の時効の援用権と喪失について
学生時代の友人と15年振りに再会したAさんは、15年前に友人から1万円を借りていたのを思い出しました。 Aさんは「利息は負けてくれ」と言って、その場で友人に1万円を返しました。 しかしその後日、Aさんは借金は10年で時効を迎えることを知り、 …
-
-
家賃を滞納したらすぐに出て行かなくてはならない?
Aさんは、新築のマンションを借りて1年経ちました。 先月うっかり家賃を払うのが3週間ほど遅れてしまいました。 遅れるのはこれで3回目で、それまで何も言わなかった大家さんから、3回も遅れたので出て行ってもらうと言われたそうなんです。
-
-
コンビニやお店の駐車場に無断駐車していたら罰金になる?
コンビニを経営しているAさんは、最近、駐車違反の取締りが厳しくなったせいか、お店を利用しない人が駐車場に車を停めるようになったことで頭を悩ませています。 ひどい時は一晩中駐車していることもあります。
-
-
友人が借金を返してくれない場合、どのように催促すべきか
会社員のAさんは、先日学生時代の友人と偶然9年ぶりに再会しました。 久し振りの再会で会話が弾んだAさんと友人でしたが、Aさんはその席で9年前にその友人に60万円を貸していたことを思い出しました。
-
-
出て行ってしまった嫁のパチンコで作った借金を旦那は払う必要があるか
Aさんの奥さんは3年ほど前からパチンコにはまりはじめ、2年前からとうとう消費者金融から借金をし始めてしまい、現在では総額80万円の借金があります。 ある日突然奥さんが家を出てしまい、途方に暮れていたところに消費者金融から旦那さんに対して、奥 …
-
-
分割払いでお金を貸したが返済が滞っている場合、途中で一括返済を求めることができる?
Aさんは友人に分割返済の約束で50万円を貸しました。 ただし最終的な返済期限だけを取り決め、1回あたりの返済額や回数は細かく決めませんでしたが、この内容で友人に借用証書を書いてもらいました。
-
-
集団住宅で隣の部屋が火事になり自分の部屋が燃えてしまった場合、損害賠償はできるか
賃貸契約のワンルームマンションに住むAさんは、先日帰宅したところ、自分の部屋と隣の部屋が火事で全焼していました。 火が出たのは隣からで、火事の原因は小さな子供の火遊びがでした。
-
-
お金を返したくても相手と連絡がつかず返せない場合は供託を利用しよう
Aさんは5年前に会社を設立したときに前の会社の同僚のBさんから100万円を融資してもらい、その際に返済期日を決めて借用書も作りました。
-
-
連帯保証人になっていた場合の相続について
先日、父親を亡くしたAさんは、葬儀を終了させ、遺産相続の手続きをすることになりました。 亡くなった父親には財産や不動産は特に無く、借金も無いと思っていたAさんは、相続の手続きも簡単に済むと思っていたのですが、父親が友人の借金の連帯保証人にな …
-
-
差押えと仮差押えの違い
Aさんは、世話になっている叔父に「このところ会社が危なくなった。500万円ぐらい貸してくれないか」と言われ、借用書をちゃんと書いてもらい、快く500万円貸しました。 ところが、相当資金繰りが苦しいらしく、遂には自宅を売って事業資金に充てるら …