友人が借金を返してくれない場合、どのように催促すべきか
久し振りの再会で会話が弾んだAさんと友人でしたが、Aさんはその席で9年前にその友人に60万円を貸していたことを思い出しました。
借用書はありませんが、友人が新しい事業を始める資金として貸していました。
また、Aさんは9年間1度も催促をしていませんでした。
後日改めて電話をかけたAさんに対し、学生時代の友人は「今すぐには無理だが、返す意思はある」と答えました。
しかし、その後は何度電話をかけても連絡がつかず、家に行っても留守です。
ことを大げさにしたくないAさんは、裁判以外の方法で何とか返してもらえないかと考えています。

ここでは借用書を取っておらず、おそらく口約束の契約だと考えられますが、口約束でも契約は成立するので、その貸し借りでどういう内容の契約をしたかが重要で、具体的には返済期限をいつにしたのかがポイントになります。
友人同士なので返済期限を定めていないということで考えると、その場合はまず相手方に催促をしないといけません。
催促は単純に電話でも法的には構いませんが、後々の証拠の問題から考えると、きちんと内容証明郵便で催促する方がいいと思います。
「○年○月に貸したお金60万円について、あと2週間後に返して下さい」というような内容の書面を書いて、内容証明郵便できちんと証拠に残るようにして送ります。
そしてその催促が届いた2週間後から、具体的に権利行使ができるかたちになります。
権利行使というのは、回収の手続きで、例えば裁判や請求のことをいいます。
その権利行使ができる状態になってから、10年間まったく権利行使していないという場合には時効という制度があります。
具体的には消滅時効といい、本来は貸した人は、返してほしいという権利を持っていますが、返して下さいという内容の郵便を送った後、何もせずに10年過ぎた場合、その権利がなくなってしまいます。
従って、2週間経っても返してもらえない場合は、電話なり他の何らかのかたちで、アクションを起こさなければならないということになります。
手っ取り早いのはいきなり裁判をすることです。
もちろん裁判をする前に内容証明郵便で、今度はきちんと請求書というかたちで請求をして、請求書が相手方に届いてから6か月以内に、具体的な裁判で請求するというかたちになります。
今回のAさんの場合は、裁判以外の方法を希望しているということですが、いつ行っても連絡がつかないとか、留守だとかいう状態ですから無理かもしれません。
ですから、具体的には時効にかかる前に裁判手続きをしてしまったほうがいいかもしれません。
友達だからことを大げさにしたくないので、裁判はできるだけ避けたいということですが、やっぱりお金を実際に戻して欲しいということであれば、そういった手続きが必要になってくるということになります。
また、裁判になったら、借用書を作っていないというのがポイントになります。
やはり、できれば口約束ではなく、親戚や友達などの近い関係でも、借用書という書面をきちんと作っておくことが大切ということになります。
関連記事
-
-
保証人でないのに家族の借金の返済をせまられたら
Aさんは両親と一緒に暮らしていますが、あるとき父親が株式投資に手を出して失敗し借金を作ってしまいました。 複数の貸金業者から借り入れをしているようで、貸金業者が度々自宅を訪れたり、電話をかけてきたりします。 Aさんがその対応をしていたところ …
-
-
飲み会の中止を予約していた店に伝え忘れたら損害賠償が必要?
Aさんは友達10人が参加する飲み会の幹事を任され、居酒屋に予約を入れました。 ところが当日、飲み会に参加するはずだった10人のうち8人が急に来られなくなってしまいました。 Aさんは仕方なくその日の飲み会の中止を決定しました。
-
-
友人同士の借金で利息は請求できる?
3年前友人に泣き付かれ、仕方なく現金50万円を貸したAさんは念のため、返済の時期などを記した契約書を交わしていました。 そして先日、その50万円が契約書通りの日付で、いさぎよく手元に返ってきました。
-
-
お金を返したくても相手と連絡がつかず返せない場合は供託を利用しよう
Aさんは5年前に会社を設立したときに前の会社の同僚のBさんから100万円を融資してもらい、その際に返済期日を決めて借用書も作りました。
-
-
年齢を偽って借金をした未成年の息子の借金を支払う義務は親にあるか?
Aさんの息子は19歳の学生で、親元を離れて一人で住んでいますが、先日息子から消費者金融から45万円の借金をしてしまい、自分では払えないから払ってくれないかという連絡がありました。 どうやら息子は19歳であるということを相手方の消費者金融に告 …
-
-
分割払いでお金を貸したが返済が滞っている場合、途中で一括返済を求めることができる?
Aさんは友人に分割返済の約束で50万円を貸しました。 ただし最終的な返済期限だけを取り決め、1回あたりの返済額や回数は細かく決めませんでしたが、この内容で友人に借用証書を書いてもらいました。
-
-
マンションの購入のキャンセルと手付金が返ってくるケースと返ってこないケース
Aさんは、都内にマンションを買う計画を立てていて、ようやく良い物件を見つけて、その物件の所有者である不動産会社に手付金100万円を払って契約をしました。 しかしその矢先、Aさんが勤務している会社の業績が悪くなり、業績が回復するまでボーナスが …
-
-
お金の貸し借りや賃貸借契約で効果を発揮する公正証書とは
Oさんは今度雑貨屋を開くことになり、それを友人に話すと「そういうことなら私も協力する」と、100万円を貸してくることになりました。 友人の厚意に対する誠意から、「いくら友人でもちゃんとした借用書を作ろう、利子は多めに払う」と言ったそうなんで …
-
-
差押えと仮差押えの違い
Aさんは、世話になっている叔父に「このところ会社が危なくなった。500万円ぐらい貸してくれないか」と言われ、借用書をちゃんと書いてもらい、快く500万円貸しました。 ところが、相当資金繰りが苦しいらしく、遂には自宅を売って事業資金に充てるら …
-
-
借用書もなく他人にお金を貸したら返してもらえない?
Aさんはあるとき、婚約中の彼に、1年後の今日に必ず返すという約束で10万円を貸しました。 彼は「借用書を書く」と言ってましたが、Aさんは「婚約したのだから借用書は書かなくていいよ」ということでした。