養育費を後から増額・減額できるケースとは
その娘が、1年間海外留学したいと言い出し、娘の話を聞いたところ、海外留学の費用が100万円ほどかかるようです。
別れた夫からはこれまで養育費として、毎月5万円ずつ受け取ってきましたが、離婚の際に娘の海外留学を想定した話はまったくしていません。
A子さんは、別れた夫にも留学費用を負担してもらいたいと考えています。
このような場合、留学費用を養育費として負担してもらうことは可能なのでしょうか。
まず法的な点から考えますと、留学費用というのは養育費の中に入ります。
通常であれば衣食住・教育費・医療費、小遣いなどが考えられ、そういったもの全てを含めて養育費といいますので、留学費用についてはその中の教育費に該当します。
別れた旦那さんは、毎月養育費として5万円ずつ払っていたとなると、一旦決めた養育費の額を後から変更できるのかという点が、1つのポイントになります。
民法では事情変更があれば、一旦決めた養育費でも後で変更ができ、増額も減額もできるということになっています。
養育費は、教育費だけではなく生活全般についてですので、親御さんの病気や子供自身の病気などで急な出費が重なった場合などでも増額することができます。
また、養育費は一般的に子供が大体20歳になるくらいまで支払うのが原則ですが、それはあくまでも原則であり、例えば20歳を過ぎても子供が病気で仕事ができない場合などもあるので、必ずしも20歳までではありません。
今回の場合、子供にとって留学は視野を広める上で大事な機会になると思いますので、親としてはできるだけ叶えてあげたいと考えていると思います。
娘さんが海外留学に行きたいと言っているから、100万の半分だけでも負担してくれないかという養育費の増額の協議を申し込むといことが必要になってきます。
それでも仮に協議が整わなければ、最終的には家庭裁判所に調停の申立てをするということになります。
また、ここでは毎月の養育費の5万円については取り決めをしていましたが、今回のような海外留学の費用や大学の授業料などに関して話し合っていない場合でも、それは免除されたわけではなく、養育費というのはあくまでも親の義務なので、話し合ってないからと言って免除はされることはありません。
ですから、まずはきちんと協議をすることが必要になってきます。
従って、今回の留学費用については、まず別れた旦那さんと話し合って、話し合いがつかなければ家庭裁判所に調停の申立てをすると流れになります。
申立てをした後は、相手方の収入の問題もあるので、家庭裁判所での判断に委ねるかたちになります。
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