承諾なしに家族の借金の保証人にされてしまったら
Aさんはこの父親の借金について今まで何も聞かされておらず、保証人になることを承諾した覚えもありません。
父親には実印や認印も渡していないので、市販の印鑑を使って勝手に契約書を作成したようです。
また、貸主から保証人になるかどうかの確認連絡も、全くありませんでした。
保証人から外してもらおうと考えていますが、外れることはできるのでしょうか?

保証人の責任というのは、主たる債務者(父親)が債務を履行しないとき、すなわちお金を借りたのに返さないときに、その借金を返済する責任を負うということが保証人の責任となります。
主たる債務者である父親がその借金を返済しないときは、その保証人が代わって父親の借金を返済しなければならないということになります。
保証人の責任は結構大きく、父親が亡くなったら丸ごと自分に借金が来るということです。
ですから、その保証人としての契約を承諾したかどうか、契約したのかどうかがかなり重要になってきます。
契約というのは、お互いの意思の合致があれば口頭でも成立するというのが原則になっています。
ただし、保証契約の場合には書面で契約しなければ効力が発生しないということになっています。
従って、書面による保証契約を行って、保証人の責任が初めて発生します。
ですから、保証契約の場合には口約束の契約だけでは効力は発生せず、書面での契約が必要となります。
ただ、Aさんの場合は、勝手に書類を作られてしまっているので、形式的な要件としては備わっているということになります。
しかし、契約の原則に戻ると、勝手に書類を作られたということで「意思の合致」というのがありません。
「保証人をする」という意思が全くなかったのですから、保証人の契約の書面があってもこれは保証人契約として成立していないということになります。
たとえ家族や親戚であってもこのような保証人契約は認められませんが、家族の場合には暗黙の了解みたいなものも多少あり、具体的に裁判になった場合には「黙認した」とみなされ、認められてしまう可能性もあります。
Aさんとしては、保証人として承諾していませんから、この場合には話し合いで債権者、貸し手の方に対して「私は保証人になっていないので保証人から外して下さい」と主張し、貸している方が保証人から外したら解決できます。
ただし、実際問題としては、貸している方としては契約書面があるので、相手が納得せず任意の話し合いで解決できなければ、裁判を起こすしかありません。
その場合は、保証債務は存在しないという確認をするための「保証債務不存在確認請求」という裁判になります。
従って、Aさんは保証人を外れることができますが、貸し手がそれを認めない場合には、裁判所で訴訟を起こす必要があるということになります。
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