トラブル解決ナビ

日常生活に潜んでいるトラブルを解決するための法律や事例を紹介しています。

ネットショッピングで間違えて注文した場合は返品できる?

Aさんはインターネットの販売サイトで、ニットを1着購入しました。
ところが数日後に2着のニットが送られてきました。
代金引換だったので、料金は配達の方に支払いましたが、その後業者に連絡したところ、申し込みが2回あったことが確認されましたが、返品はできないと言います。
そういえば、一度申し込みのボタンを押しましたが次の画面に進まなかったので、もう1度押した記憶があります。
注文画面には「申し込みボタンは何度も押さないで下さい」と書いてありましたが、返品できないものでしょうか?
ネットショッピングで間違えて注文した場合は返品できる?

これは法的に見ますと、1つは民法で規定している「錯誤」というものがあり、簡単に言うと「勘違いした」ということです。
本当はそういう申し込みをするはずではなかったのに、勘違いをして申し込んでしまった場合が該当します。
その勘違い、錯誤については、民法では原則として無効という形になっています。
すなわち、申し込みが無効なため、契約が自体がなかったことになります。
ただし、錯誤を全部無効にしてしまうと、経済的な取引が成り立たなくなりますので、民法の但し書きという規定がありまして、「重過失があった場合には、無効は主張できない」という規定をしています。

今回は、「申し込みボタンは何度も押さないで下さい」という表示が、確かにあり、それを表示しているにもかかわらず押してしまったということは、重大な過失ということになってしまいます。
そうすると、先ほどの民法の規定で行けば、無効は主張できないという結論になります。

しかし、電子消費者契約法によれば、そのような重過失があっても、原則無効を主張できるということになりました。
重過失の場合、民法の規定によれば無効は主張できないが、電子消費者契約法ではそのような重過失があっても無効を主張できます。
しかし、その電子消費者契約法にもまた例外があり、申し込みの意思を確認するような措置があった場合には、無効は主張できません。

例えば、「ニット1着、この申し込みでいいですか? 」などの申し込みの意思を確認する画面を出すなどの措置があった場合には、申し込み時に確認しているわけなので、電子消費者契約法によっても、無効を主張できません。

従って、今回の場合、そのような措置がないのであれば、重過失があったとしても電子消費者契約法に基づき、無効を主張することができ、送られてきた商品を返品することができます。

 - 生活のトラブル , ,

  関連記事

福袋の中身が気に入らない場合、返品できる?

毎年、主婦のAさんは正月になると福袋を買うことを楽しみにしています。 昨日もバーゲンセールで、衣類が詰め込まれた3万円の福袋を発見し、購入するかどうか迷っていると、お店の店員がやってきて、着まわししやすい色の服が入っていて、サイズも大きめの …

ホームページ上の画像やイラストを無断で使用すると損害賠償が発生する?

イラストを書くのが好きなAさんは、趣味で書いたイラストをインターネット上のホームページで公開していました。 そんなAさんはある日、自宅の近くで居酒屋の入り口に貼ってあったポスターにAさんが書いたイラストが使われているのを見つけました。

有料駐車場で当て逃げにあった場合、駐車場の管理会社に請求できるか?

Aさんは、車を有料駐車場に停めて、用事を終えて駐車場に戻ってくると、車が当て逃げの被害にあっていました。 すぐに警察と駐車場の管理会社に連絡すると、担当者が駆けつけました。

当選した宝くじは夫婦間で共有財産になるか特有財産になるか

Aさんの奥さんが買ってきた宝くじが、1000万円の大当たりをしましたが、当選金を夫婦の間で分けるかどうかでもめています。 夫婦の財産は共有のものと考えるAさんとは反対に、奥さんは「私が購入して当たった宝くじだ」と言い張り、Aさんには1円も渡 …

酒の席で酔っ払っている人に殴られたり、暴力を振るわれたりしたら

居酒屋でお酒を飲んでいたAさんは、偶然隣に座った見知らぬ男性と野球の話で盛り上がりました。 始めは楽しく飲んで話をしていたAさんと男性でしたが、お酒が入るにつれてお互いに遠慮がなくなり、徐々にムードが悪くなってきました。

お金の貸し借りや賃貸借契約で効果を発揮する公正証書とは

Oさんは今度雑貨屋を開くことになり、それを友人に話すと「そういうことなら私も協力する」と、100万円を貸してくることになりました。 友人の厚意に対する誠意から、「いくら友人でもちゃんとした借用書を作ろう、利子は多めに払う」と言ったそうなんで …

未成年者が年齢を偽って交わした契約を後から取り消すことができるか?

18歳のA君はインターネットで知り合った人から個人売買で中古のパソコンを購入しました。 引渡しの際に相手から年齢を聞かれたので、A君は自分とそっくりな兄の免許証を見せ「21歳である」と偽りました。 安心した相手に、A君は代金の半額を支払い、 …

盗まれたものを発見したがリサイクルショップやオークションで売買されたあとだった場合、取り返せる?

Aさんは大学生で、マンションから学校までAさん自慢の1台10万円の高級自転車で通っていました。 その日はたまたま授業が終わった後、そのまま友達と遊びに行くことになり、学校に自転車を置きっぱなしにして帰りました。

離婚したとき養育費の支払いの約束は口約束だけでなく公正証書でしよう

7年前に結婚したA子さんは、夫との間に小学1年生の女の子がいます。 しかし夫とは喧嘩が絶えず、A子さんは離婚したいと考えるようになりました。 一方で夫は離婚の申し出を拒否し、A子さんと再度話し合った結果、しばらく別居して冷却期間をもうけるこ …

親が認知症になったら成年後見制度を利用しよう

Aさんには90歳になる父がいます。 1年ほど前に母が他界したのをきっかけに、父は認知症で入院しています。 Aさん自身は65歳で定年を迎え、現在Aさん夫婦に収入はなく、父の入院費はかなりの負担になっているということです。