分割払いでお金を貸したが返済が滞っている場合、途中で一括返済を求めることができる?
ただし最終的な返済期限だけを取り決め、1回あたりの返済額や回数は細かく決めませんでしたが、この内容で友人に借用証書を書いてもらいました。
ところがその後、友人は約束を守らず、まったく返済しません。
Aさんが何度返済を求めても、返すと口で言うだけで、友人のことを信用できなくなったAさんは、お金を貸すことを止めようと思いました。
返済期限の前でも、訴訟によって全額一括の返済を求めようと考えています。

今回のケースのように全額を一括で返済を求めるには、当然、求めるだけの理由がなければいけないということになり、結論的には最終の返済期限の前には返してもらえないということになります。
やはりここでの問題は、「返済方法は分割返済で取り決めをした」ということでしたので、その分割の回数や金額や期限などをきちんと取り決めしていないといけなかったということになります。
例えば「50万円を10回で返し、月々5万円ずつ返済する」というようにきちんと取り決めをしていないといけませんでした。
その辺を取り決めしていなかったということですから、借りている方としては「そういう取り決めをしていないんだから、最終的な返済期限までに自由に返せばいい」という解釈が成り立ちます。
最終的に全額返せばいいという解釈が成り立つので、法律的にはそのような分割返済をする場合には通常、例えば「一回でも返済が遅れたら、残りのお金、残金を一括して請求できる」という「期限の利益喪失条項」あるいは「約款」というものを、取り決めしておく必要があります。
具体的には、「50万を10回で、月末5万円ずつ返済する」という取り決めをして、その取り決めを「1回でも遅れた場合には、残りのお金を一括で支払うことになります」というような内容で契約します。
これが「期限の利益損失条項」ということになります。
そういった取り決めは、公正証書にしておくと確実ではありますが、一般的には普通の借用書でも構いません。
ただし、口約束だけだと、裁判になった場合に言った言わないの世界になるので、何らかの書面にしておくことが大事です。
今回の場合では友人同士だということで、そこまで細かい取り決めはしていなかったのでしょうが、そのために様々なトラブルが発生することになります。
友人同士だとつい「書類を交わすのも…」と思って、口頭で「貸すから返してね」という感じになりがちですが、後々のことを考えるときちんと書類を書いておくというのが大事です。
今回の結論は、細かい取り決めをしていなかったので、最終返済期限の前には一括の返済を求めることはできないということになり、返済期限まで待つということになります。
基本的にお金を貸し借りするときは、きちんと細かい部分も予め決めてお互い確認しておいた方がいいと思います。
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