トラブル解決ナビ

日常生活に潜んでいるトラブルを解決するための法律や事例を紹介しています。

契約書をなくして再度和解した後に前の契約書を発見した場合どちらの契約が有効か

Aさんは、昨年友人に「期日は今年の12月で全額一括で返し、利息として1万円を上乗せする」という条件で20万円貸しました。
条件と同じ内容の借用書を書いてもらいましたが、Aさんはその借用書をなくしてしまいました。
期日が来て友人に「期日が来たのでお金を返して欲しい」と言ったところ、友人は「借りたときの条件を忘れたので、借用書を見せて欲しい」と言ってきました。
正直に借用書をなくしたことを伝えると、「そしたら期日もはっきりしないし、まだ返さなくてもいいじゃないか、返さない訳ではないし、今お金が無いのでもう少し待ってほしい」と言われてしまいました。
Aさんも早く返してもらわないと困るので話し合いをし、まずは5万円を返して、残りの15万円を1年後に返すという内容で改めて借用書を作り直しました。
ところがそれを書いた1週間後、なくしたと思っていた借用書が見つかりました。
そのことを友人に言うと、「新しい借用書が有効だろう」ととりあってくれません。
彼の言い分は正しいのでしょうか?
契約書をなくして再度和解した後に前の契約書を発見した場合どちらの契約が有効か

まず、和解というのは、ここではAさんとお金を貸した友人の当事者が互いに譲歩して、その間に存在する争いを止めることを約束することによって、その効力を生ずるものです。
いわゆる民事紛争の自主的な解決方法というように言われています。

民法上の和解契約であれば裁判所は関与しませんが、裁判所が関与するものもあります。
和解の種類は、民法が定める民法上の和解と、裁判所が関与する和解の2つがあり、裁判所が関与する和解についても、裁判上の和解や調停などがあります。
裁判上の和解については、訴えを提起する前の和解と、訴訟上の和解の2種類があり、調停については、民事事件に関する民事調停と、家事事件に関する家事調停事件があります。

以上のことを踏まえた上で、今回の場合は、民法上の和解ということになります。
日常用語的に「示談」という言葉もありますが、示談も一種の和解であると解釈されています。

和解の要件は、当事者間に法律関係について争いがあって、その争いについて当事者間が譲歩して争いを止める合意をし、一定の法律関係の確立についても合意するという要件があります。

民法上の和解で示談のようなものだった場合、当事者間の合意ですから、いわゆる口約束でも成立します。
ただし、一旦紛争になった場合には、やはり口約束だと証拠の問題になり、書面を作っておいた方が後のトラブル防止にもなるので、実質的には書面にする事が必要になってきます。

和解には争いになった権利関係について和解が成立した場合、当事者は原則として和解の内容に拘束されるという効力があります。
これを称して「和解の確定効」という言葉を使います。

「和解の確定効」は、例えば、土地の所有権の帰属についてAさんとBさんで争いがあり、当事者がこの争いを止めようということで合意し、Aさんにその所有権があることを認める代わりBさんがこの土地を5年間使うのを認めるということで、当事者間で和解成立しました。
ところが一旦合意した後に、Bさんに所有権があるんだという何らかの証拠が出てきたとします。
しかし、そのような場合でも、Bさんは和解を覆すことはできません。
なぜならば、一旦和解をした以上は和解の確定効ということで、その和解内容に当事者が拘束されるからです。

和解の効力というのは結構強いもので、一旦合意した以上は、その内容に拘束されるということになります。
ただし、ある場合においては、その効力が否定されることもあります。
交通事故の示談などが該当し、例えば、交通事故を起こして示談をした後で後遺症害が出てきた場合などで、その示談当時予想できなかった後遺症についての損害には、示談の効力は及ばないという判例もあります。

一方、今回のAさんのケースでは和解は成立します。
なぜかと言うと、そのお金を借りたという事実はお互い認めており、間違いがないので争いはありません。
お金の返済の時期とか返済額について争いがあり、最初に5万円返して、残りの15万円は1年後に分割で返済するというような合意をしたということですから和解が成立しています。
和解が成立している以上は、和解の確定効ということで、後で借用書が見つかったとしても和解を覆すことはできないという結論になります。

 - お金に関するトラブル , , ,

  関連記事

なくした免許証や保険証を悪用されてお金を借りられてしまったらなくした本人に返済義務はあるか

Aさんは先日運転免許証をなくしてしまいました。 どこで落としたのか、家の中で紛失したのか、見当もつきません。 仮に屋外で落としていた場合、拾った誰かがその運転免許証を悪用し消費者金融や闇金などで借金をしたら、Aさんにその借金の支払い義務はあ …

出世払いの借金の返済期限はいつ?

3年前、出世払いで返すからと借金を頼み込んできた友人に、現金10万円を貸しました。 この借金については契約書を交わしているわけではなく、特に返済の期日を決める事もしていません。 これまでに何度か返済を迫りましたが、まだ出世していないからと友 …

無計画に自己破産すると免責がおりない?

A子さんは買い物が大好きで高級ブランドのバッグや服、アクセサリーなどをいつも買い漁っています。 A子さんの職業は中小企業の会社員なので特に給料がよいわけではありません。 最近は、ローンの支払いや消費者金融からの借り入れなどで借金が増えていま …

お金の貸し借りや賃貸借契約で効果を発揮する公正証書とは

Oさんは今度雑貨屋を開くことになり、それを友人に話すと「そういうことなら私も協力する」と、100万円を貸してくることになりました。 友人の厚意に対する誠意から、「いくら友人でもちゃんとした借用書を作ろう、利子は多めに払う」と言ったそうなんで …

友人同士の借金の時効の援用権と喪失について

学生時代の友人と15年振りに再会したAさんは、15年前に友人から1万円を借りていたのを思い出しました。 Aさんは「利息は負けてくれ」と言って、その場で友人に1万円を返しました。 しかしその後日、Aさんは借金は10年で時効を迎えることを知り、 …

兄弟の借金の返済をしつこく催促された場合、支払う必要はあるか

Aさんには兄がいて、兄は飲食店を営んでいましたが、2年程前から次々と近所にライバル店ができ、客足はどんどん遠のいて、先月ついにお店をたたむ事になってしまいました。 Aさんはお店の後片付けを手伝う事にしたそうなんですが、兄はショックのためなか …

飲み会の中止を予約していた店に伝え忘れたら損害賠償が必要?

Aさんは友達10人が参加する飲み会の幹事を任され、居酒屋に予約を入れました。 ところが当日、飲み会に参加するはずだった10人のうち8人が急に来られなくなってしまいました。 Aさんは仕方なくその日の飲み会の中止を決定しました。

承諾なしに家族の借金の保証人にされてしまったら

Aさんは、独立して一人で暮らしていますが、先日、実家の父親が借金をした際に、Aさんを保証人にしたということを聞かされました。 Aさんはこの父親の借金について今まで何も聞かされておらず、保証人になることを承諾した覚えもありません。

不利益事実の不告知があり購入したマンションの契約を解除できるケース

部屋からの眺めと日当たりのよさにこだわり、マンション探し続けていたAさんは、ついに希望に合う物件を見つけ、マンションを購入しました。 購入したマンションは、販売業者が「眺めも日当たりも良好です」と勧めてきたもので、その言葉を聞いた上でAさん …

借金を返せなくなったときに放置したケースと自己破産

現在60歳のAさんには、サラ金やクレジットカードなどでおよそ1000万円の借金があります。 これまで少しづつ返済してきましたが、最近は「もう完済できない」と思うようになりました。 自己破産することも考えたAさんですが、手続きにいくらかかるの …