旦那名義のクレジットカードを勝手に使用した場合、支払い義務は誰にある?
しばらくしてAさんのもとには200万円の支払いを求める請求書が届きました。
Aさんは「これはお前が作った借金なんだから、俺は一切払わない。」と妻に言いました。
すると妻も「あなたのカードで支払いしたんだから、あなたが払うのが当然だ」と言い返しました。
この借金は一体どうすればいいのでしょうか。

まず、この問題を解決するための前提として、夫婦間の財産あるいは借金について、法的にどういう形になっているのかということを理解する必要があります。
まず夫婦間の財産の関係で夫婦生活から生ずる財産があります。
例えば、旦那さんの名義で何か買ったり、奥さんの名義で何か買うときに、その財産自体は基本的にはそれぞれの名義に帰属するという風に割り切れればいいんですが、割り切れない場合があります。
要するにその財産がどちらの方に帰属するのかがわからない場合、不明な場合は夫婦の共有財産という形になっています。
財産についてはそのようなかたちになっており、あとは借金や夫婦生活における費用の関係です。
例えば電気代や家賃などをどちらがどういう形で負担するのかということになり、これは民法に規定があり、基本的には資産に応じて分担するというように定められています。
例えば、奥さんが専業主婦で収入がない場合は、旦那さんが負担せざるを得ないという形になります。
もう一つは日常家事の債務ということですが、例えばお米代や新聞代などは夫婦の連帯責任となってます。
例えば、普段は奥さんがお金を支払っているが、奥さんが支払いができない場合は旦那さんが支払いをしなければいけないという形になります。
そういうことを踏まえて、今回の場合どうなるのかということを考えると、奥さんが勝手に旦那さんのカードを使って作った200万円の借金が、日常家事にあたるのか夫婦生活から生ずる費用にあたるのかがポイントになります。
従って、買った物によっても違うということになります。
一般的に考えると200万円というと結構高額で、それが日常家事や夫婦生活から生ずる生活費とはちょっと考えにくいと思います。
そうするとその200万円というのは民法の原則に当てはまらないということになります。
クレジット会社は旦那さんと契約しているわけですからクレジット会社は当然旦那さんのほうに支払いを求めます。
一方、Aさんとしては自分が使ったものではないので、Aさんの方としては、請求があったところで自分が使ったものではないということを証明していかなければいけません。
そうすると現実問題としては果たしてそういう証明ができるのかということになります。
証明することができれば裁判になり、勝てる要素はありますが、裁判に勝ったところで奥さんが支払っていかなければならないので現実問題としてはなかなか難しいです。
そうすると今回の場合は現実問題としてはやはりAさんが返済をしないといけないということになると思います。
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