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離婚したとき養育費の支払いの約束は口約束だけでなく公正証書でしよう

7年前に結婚したA子さんは、夫との間に小学1年生の女の子がいます。
しかし夫とは喧嘩が絶えず、A子さんは離婚したいと考えるようになりました。
一方で夫は離婚の申し出を拒否し、A子さんと再度話し合った結果、しばらく別居して冷却期間をもうけることになりました。
A子さんが娘を預かるため、生活費として夫がA子さんに毎月10万円を支払うことや夫と娘を毎月会わせるなどなどの内容で合意しました。
しかしA子さんは、これらの合意を口約束だけでいいのか心配しています。
離婚したとき養育費の支払いの約束は口約束だけでなく公正証書でしよう

もちろん口約束でも、契約や合意は成立しますし、それを履行すればそれに越したことはなく、書面にする必要はありませんが、往々にして、口約束ということになると相手方がそれを履行しないというケースが多いので口約束は止めた方がいいという結論になります。
離婚して最初の内は養育費を支払ってくれていても、途中から払わなくなったりするケースなどもよくあります。
ですからそういうトラブル防止のためには、やはり書面にきちんとしていた方がいいと思います。

具体的には、公正証書にしておくと一番いいです。
公正証書は、お互いが最寄の公証役場に2人で行って、お互いが合意した内容の「毎月生活費として10万円支払う」、「毎月娘と夫が会う」ということを、公証人に申し述べて、それを書面にします。
それが公正証書という書面になり、公正証書には法的にかなり強い権限があります。
公正証書を作っておいてそれが履行されなかった、例えば「毎月10万円を支払う」に関して支払いを怠ったという場合には、夫の方の給料を差押えできるという権限も持っています。

一般的な差し押えの流れは、裁判をして勝訴して判決をもらって、それで相手方の給料や財産を差押えしていきますが、公正証書にしておくとこの裁判手続きは要らなくなるということになります。
つまり、裁判をしなくても公正証書でがあればすぐに相手方の給料や財産などを差押えることができるということです。

他には、公正証書以外に家庭裁判所に夫婦関係調整の調停の申立てをするということも考えられます。
そうすれば家庭裁判所で、裁判所の書面ができあがりますので同じような結果になり、その場合は公正証書がなくても同じような働きをするということになります。
その場合にはその債務名義に基づいて、相手方の給料を差押えするなどということが考えられます。

できれば円満に解決するのがお互いに一番いいですが、口約束だけでは心配な面もありますので、きちんと書面に残すということが大事になってきます。

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