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無計画に自己破産すると免責がおりない?

A子さんは買い物が大好きで高級ブランドのバッグや服、アクセサリーなどをいつも買い漁っています。
A子さんの職業は中小企業の会社員なので特に給料がよいわけではありません。
最近は、ローンの支払いや消費者金融からの借り入れなどで借金が増えています。
A子さんは「いざとなれば自己破産する」と考えていますが、そんなに都合のいいように自己破産することはできるのでしょうか。
無計画に自己破産すると免責がおりない?

まず「破産」というのは、お金を借りている人が借金を返済することができない返済不能という状態になった場合、借主の全財産からすべての貸主への公平な返済を主な目的としてなされる裁判上の手続きのことをいいます。
簡単に言うと、「財産があればそれを全部処分して、債権者に公平に配分する」ということで、破産する人に財産があれば処分しなければいけないということです。

そして「自己破産」というのは、その破産手続きを自分から裁判所に申し立てるということです。
自己破産のメリットとしては、破産宣告がなされると、取り立てができなくなり、借りている人はその債権者からの取り立てから開放されます。
そして、破産宣告した後に、免責という責任を免れる申立てをして、それが裁判所によって認められれば、免責決定を得て、返しきれなくなった借金の残りを帳消しにしてもらえるという点があります。
しかし、破産に至った理由によっては、その免責決定がもらえない場合もあります。

デメリットとしては、破産した情報が通称ブラックリストと言われている各金融機関が利用している信用情報機関に登録されてしまいます。
ですから、通常言われている7年とか8年とかの期間は、クレジットやローンでの買い物はできなくなります。
後は、裁判所の方から本籍地の役場に、その旨の通知がされ、破産名簿というものに登録されます。
そうすると、市区町村長から発行される身分証明書に「破産された」ということが記載されますが、これを使うことはあまりないと思います。
従って、実際的な不利益はあまりないかとは思います。
自己破産することで家財道具が没収されることはありませんし、他にも戸籍とか住民票に記載されるということもなく、会社員であれば、勤務先に破産したということが知れることもほとんどありません。
ただし、官報というものに2回ほど載ってしまうので、会社の方で官報を見ているのであれば、知られてしまうこともあります。
また、誤解している人が多い、選挙権などは破産になっても制限はありません。

今回の事例のように、無計画ということであれば「免責」が降りない事由になる可能性があるので、安易に「自己破産すればいいや」という考えにならないよう注意しないといけません。

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