トラブル解決ナビ

日常生活に潜んでいるトラブルを解決するための法律や事例を紹介しています。

親が認知症になったら成年後見制度を利用しよう

Aさんには90歳になる父がいます。
1年ほど前に母が他界したのをきっかけに、父は認知症で入院しています。
Aさん自身は65歳で定年を迎え、現在Aさん夫婦に収入はなく、父の入院費はかなりの負担になっているということです。
Aさんは思い悩んだ末に父名義の今住んでいる家を売って、入院費にあてたいということなんですが、どうすればよいのでしょうか。
親が認知症になったら成年後見制度を利用しよう

認知症である父名義の物件、建物ですから、動機が入院費にあてようと、息子だからといっても勝手には処分できないというのが原則です。
そうするとその物件を入院費のために処分するには、当然売買契約を結ばないといけないということになります。
本来は、健康な方であれば自分で判断して売買契約を結んで売却すると考えられますが、今回の場合は認知症でしかも入院しているので、売買契約を自身で判断して締結できるかどうかが問題になってきます。

そこで、これは民法に規定があり、認知症や知的障害などの精神的な障害を負っていての判断能力がない人を法的に保護する後見制度というのがあります。
後見制度は大きくわけて2つあり、「未成年後見」と「成年後見」があります。

「未成年後見」というのは、亡くなってしまったりして親権者がいなくなってしまった未成年者について、法定代理人になる者のことをいいます。

「成年後見」は大きく分けて2つあり、「法廷後見制度」と「任意後見制度」があります。
法廷後見制度というのは民法に3つ規定があり、判断能力の程度によって、補助と保佐と後見という3種類があります。
自分で判断できないということであれば、家庭裁判所に後見等の開始を申立し、その申立について家庭裁判所は、その程度によって、補助の場合は補助人、保佐の場合は保佐人、後見の場合は成年後見人という人が選ばれます。
この申立をするのは本人でも4親等以内の親族でも構いませんが、後見の場合は完全に判断能力が欠けているので、本人で申立できるのは、実質、補助と保佐だけということになります。

実際に家庭裁判所で後見人に選任される人はそれぞれ扱う事務によって、どういう人が適任なのか家庭裁判所で判断して選ぶということになります。
法律考慮ということであれば弁護士や司法書士でも構いませんし、身上看護だけだということであれば身内や親族の方などと家庭裁判所が適任者を選ぶことになります。

もう1つの任意後見制度は、今現在は判断能力があるが、将来自分はやっぱり心配だという場合、将来判断能力が不十分になったときに、その人に代わって何か行為をする人をあらかじめ契約で選んでおくという制度です。
この契約は必ず公証人役場で契約を締結しなければいけません。
それで将来判断能力が不十分になった場合、後見監督人という人を家庭裁判所に選任してもらうことになってます。
任意後見は様々な財産の管理や処分が絡むので、家庭裁判所に後見人を監督する人を選んだ方がいいということで、家庭裁判所が任意後見監督人を選ぶという形になってます。

今回この制度を利用するということになると、物件の名義人が父であっても、例えば成年後見人としてAさんが選ばれたということであれば、法廷後見制度となり、本人に代わって物件を売却処分できるということになります。

最近では相手が認知症であることに漬け込んで物を売りつけたりすることで、判断能力が不十分な方が結構被害あっていますが、そういう被害も防ぐためにもこの後見制度を使うことができます。
例えば、同意を得ないで勝手に契約してしまった場合、後見制度を使い、制限能力者ということで、5年間は契約取り消しはできるということになります。

 - 家族のトラブル, 生活のトラブル , ,

  関連記事

旦那名義のクレジットカードを勝手に使用した場合、支払い義務は誰にある?

ある日、Aさんの妻がAさん名義のクレジットカードを勝手に持ち出して、200万円分も衝動買いをしたということを告げられました。 しばらくしてAさんのもとには200万円の支払いを求める請求書が届きました。

承諾なしに家族の借金の保証人にされてしまったら

Aさんは、独立して一人で暮らしていますが、先日、実家の父親が借金をした際に、Aさんを保証人にしたということを聞かされました。 Aさんはこの父親の借金について今まで何も聞かされておらず、保証人になることを承諾した覚えもありません。

相続においてビデオテープによる遺言は無効?

父親を亡くしたAさんは、遺産の分配を巡る家族会議を行いました。 遺産の大部分はAさんの父親と妹が一緒に住んでいた家と土地がほとんどで、相続人はAさんを含む兄弟3人で、妹以外は家と土地を売り、そのお金を分配したいと考えていました。

出て行ってしまった嫁のパチンコで作った借金を旦那は払う必要があるか

Aさんの奥さんは3年ほど前からパチンコにはまりはじめ、2年前からとうとう消費者金融から借金をし始めてしまい、現在では総額80万円の借金があります。 ある日突然奥さんが家を出てしまい、途方に暮れていたところに消費者金融から旦那さんに対して、奥 …

英会話やパソコン教室を途中で解約した場合、一括で払った学費は返ってくる?

30代の女性A子さんは3年前の5月にパソコン教室に入学し、学費の50万円は一括で支払いました。 ところが入学から2か月後に妊娠していることが判明し、体調がよくなかったこともあり学校側に退学と返金を申し出ました。

盗まれたものを発見したがリサイクルショップやオークションで売買されたあとだった場合、取り返せる?

Aさんは大学生で、マンションから学校までAさん自慢の1台10万円の高級自転車で通っていました。 その日はたまたま授業が終わった後、そのまま友達と遊びに行くことになり、学校に自転車を置きっぱなしにして帰りました。

有料駐車場で当て逃げにあった場合、駐車場の管理会社に請求できるか?

Aさんは、車を有料駐車場に停めて、用事を終えて駐車場に戻ってくると、車が当て逃げの被害にあっていました。 すぐに警察と駐車場の管理会社に連絡すると、担当者が駆けつけました。

ゴミ出しのルールを守らない人やルール違反者への対処法

Aさんの住む地域は住宅街で、Aさんの家と隣の家との間にごみの集積所があります。 これまでは大方ごみ出しのルールは守られてきましたが、ある日を境に頻繁にごみ出しのルールを守らない人が現れてきました。

年齢を偽って借金をした未成年の息子の借金を支払う義務は親にあるか?

Aさんの息子は19歳の学生で、親元を離れて一人で住んでいますが、先日息子から消費者金融から45万円の借金をしてしまい、自分では払えないから払ってくれないかという連絡がありました。 どうやら息子は19歳であるということを相手方の消費者金融に告 …

旅館側のミスで宿泊の予約が取れなかった場合、その損害賠償は請求できるか?

夏休みに人気の温泉旅館に出かけようと考えたAさんは、インターネットで旅館のホームページを見ていると、偶然空き部屋がある日にちを発見しました。 ホームページに「メールを送っていただいた後、旅館側から予約確認の電話をおかけします」と書かれていた …