トラブル解決ナビ

日常生活に潜んでいるトラブルを解決するための法律や事例を紹介しています。

借用書もなく他人にお金を貸したら返してもらえない?

Aさんはあるとき、婚約中の彼に、1年後の今日に必ず返すという約束で10万円を貸しました。
彼は「借用書を書く」と言ってましたが、Aさんは「婚約したのだから借用書は書かなくていいよ」ということでした。
しかし1年経っても返してくれる気配がなく、婚約した彼が約束を守ってくれるのかどうかが気になり「貸したお金はいつ返してくれるの」と聞いたところ、彼は「あのお金はくれたんじゃないの?」と言ってきました。
Aさんは「あなたが1年後に返す約束をした」と言うと、彼は「借用書はあるのか?」と聞いてきました。
借用書もなく貸したお金は、諦めるしかないのでしょうか?
借用書もなく他人にお金を貸したら返してもらえない?

今回のケースは、お金を貸したのかあげたのかの主張が対立するということになります。
まずお金を貸したということになれば民法上は「金銭消費貸借契約」という言葉を使います。
金銭消費貸借契約が成立する為には、借りたお金を返すと約束をすることと、お金を受け取ることの2つの要件が必要となってきます。
従って、口約束だけではなく、実際にお金を受け取って初めて金銭消費貸借契約の効力が出てきます。

金銭消費貸借契約の効力というのは、借りた借主については、返還の時期にお金を返す義務があるということになります。
その返還の時期というのは、契約に定めがあるかどうかによって異なります。
契約に定めがある場合は、確定期限を定めた場合と不確定期限の2つがあります。
確定期限というのは、平成○年○月○日に返しますという約束をした場合のことをいいます。
不確定期限というのは、例えば海外に単身赴任で行く場合に、帰国したら返して下さいという場合です。
定めがない場合には、返還の時期はいつでもいいということになります。
従って1ヶ月以内に返して下さいなどと、相手方に相当期間を設けて催告をします。

そして、返還時期を過ぎてしまうと、返還時期に返還義務を履行しなかったということで、金銭であれば「金銭の遅延利息」という損害賠償が発生してきます。

また、今回のように借用書がなく口約束だけという場合でも金銭消費貸借契約は法律上は成立します。
ただし、口約束だけで契約は成立しますが、裁判などになってしまった場合には立証をしなければいけません。
裁判になった場合には、返還することを約束したのかどうか、お金の授受があったのかどうかを立証しなければなりませんので、現実的には借用書を書いておいた方がいいといえます。

借用書がない場合の立証は、返すと約束したのかどうかと授受があったのかどうかを立証しなければならず、まず授受があったかどうかは、銀行の口座に振込んだ証拠で、振り込み書の控えなどがあれば、それで立証になるといえます。
あとは、返すという約束をしたかどうかですが、その場に第三者が居たのであれば、その第三者の証言を貰うとかいう形で立証しなければならず、立証することはなかなか難しいです。
立証の方法がなくなってしまわないように、借用書をきちんと書いておくことが必要になってきます。

一般的に恋人や親族関係は、借用書を書かない場合が多いんですが、往々にしてそういうケースの場合争いになりますから、身近な存在でも借用書はお互いの為に書くことが大事です。

 - お金に関するトラブル , , ,

  関連記事

連帯債務と分割債務の違いについて

Aさんは友人2人と田舎の一軒家を買い取り、そば屋を営む計画を立てていました。 ある日良い物件が見つかったので、早速3人は銀行から3人の連帯でローンを組んで買い取り資金の1200万円を調達し、その物件を買い取りました。

闇金などの高すぎる利息の借金は支払わなくていい?

Aさんは1年程前、生活費に困り、金融業者から月1割の利息でお金を借りました。 その後、借金も徐々に減ってきた時、Aさんは友人から「金利が高すぎるので払う必要がない」ということを聞きました。

家賃を滞納したらすぐに出て行かなくてはならない?

Aさんは、新築のマンションを借りて1年経ちました。 先月うっかり家賃を払うのが3週間ほど遅れてしまいました。 遅れるのはこれで3回目で、それまで何も言わなかった大家さんから、3回も遅れたので出て行ってもらうと言われたそうなんです。

飲み会の中止を予約していた店に伝え忘れたら損害賠償が必要?

Aさんは友達10人が参加する飲み会の幹事を任され、居酒屋に予約を入れました。 ところが当日、飲み会に参加するはずだった10人のうち8人が急に来られなくなってしまいました。 Aさんは仕方なくその日の飲み会の中止を決定しました。

契約書をなくして再度和解した後に前の契約書を発見した場合どちらの契約が有効か

Aさんは、昨年友人に「期日は今年の12月で全額一括で返し、利息として1万円を上乗せする」という条件で20万円貸しました。 条件と同じ内容の借用書を書いてもらいましたが、Aさんはその借用書をなくしてしまいました。

お金を返したくても相手と連絡がつかず返せない場合は供託を利用しよう

Aさんは5年前に会社を設立したときに前の会社の同僚のBさんから100万円を融資してもらい、その際に返済期日を決めて借用書も作りました。

マンションの購入のキャンセルと手付金が返ってくるケースと返ってこないケース

Aさんは、都内にマンションを買う計画を立てていて、ようやく良い物件を見つけて、その物件の所有者である不動産会社に手付金100万円を払って契約をしました。 しかしその矢先、Aさんが勤務している会社の業績が悪くなり、業績が回復するまでボーナスが …

連帯保証人になっていた場合の相続について

先日、父親を亡くしたAさんは、葬儀を終了させ、遺産相続の手続きをすることになりました。 亡くなった父親には財産や不動産は特に無く、借金も無いと思っていたAさんは、相続の手続きも簡単に済むと思っていたのですが、父親が友人の借金の連帯保証人にな …

貸付自粛や与信自粛とブラックリスト

結婚して20年になるA子さんは結婚してから夫の借金に悩みを抱えていました。 A子さんの夫は浪費癖があり、A子さんに内緒でお金を消費者金融から借りてしまい、これまで一度も計画通りに返せず、毎回A子さんに泣きつきます。

差押えと仮差押えの違い

Aさんは、世話になっている叔父に「このところ会社が危なくなった。500万円ぐらい貸してくれないか」と言われ、借用書をちゃんと書いてもらい、快く500万円貸しました。 ところが、相当資金繰りが苦しいらしく、遂には自宅を売って事業資金に充てるら …