トラブル解決ナビ

日常生活に潜んでいるトラブルを解決するための法律や事例を紹介しています。

未成年者が年齢を偽って交わした契約を後から取り消すことができるか?

18歳のA君はインターネットで知り合った人から個人売買で中古のパソコンを購入しました。
引渡しの際に相手から年齢を聞かれたので、A君は自分とそっくりな兄の免許証を見せ「21歳である」と偽りました。
安心した相手に、A君は代金の半額を支払い、残りの半額はアルバイト代が入る来月に支払うという約束をしました。
しかし、翌月のアルバイト代が少なかったため、自分が未成年であることを理由にパソコンを買うことを取り消そうと思いました。
このような場合、この契約の取り消しは認められるのでしょうか?
未成年者が年齢を偽って交わした契約を後から取り消すことができるか?

民法に未成年者を保護する規定があり、原則として、例えば未成年者が契約をする場合には、親の同意を得なければいけないと定められています。

今回のように未成年がパソコンを購入する場合、親にパソコンを買うということを了承して、同意してもらうということが必要になり、もし同意がない場合はパソコンを買うという売買契約は取り消すことができます。

このA君の場合、同意がないので結果的に取り消すことができるというのが民法の規定です。
その主旨は、未成年者であるため大事な契約を結ぶだけの能力が不十分であり、未成年者を守ろうという規定です。

ただし例外があり、今回のように偽りの免許証を見せ、自分が20歳以上の成年であると積極的に嘘をついた場合、先ほどの法律の主旨から考えて、そういう人は保護される対象になりません。
ですから、民法では、そのような積極的な詐術を用いた場合には、その契約は取り消すことができないという規定をしています。

売買契約を取り消すことができないので、契約は当然成立しており、成立しているんであれば、お金を払わなければいけないということになります。

今回の場合、基本的には、A君は未成年なので、本来は親の同意がなかった場合は、取り消すことができますが、今回は自分が青年であると信じさせる為に、積極的な手段を使った詐術ということで、20歳以上だと嘘を言ったため、契約を取り消すことはできないということになります。

今、顔が見えない状態でもインターネットで簡単に、取引をする場合もありますから、このようなトラブルは多いと思います。
トラブル防止のためには、売る人は相手が未成年者であるかどうかをしっかり確認するのがいちばんいい方法です。
売る方も買う方も、しっかり確認して気をつけて取引しなければいけません。

 - 生活のトラブル

  関連記事

英会話やパソコン教室を途中で解約した場合、一括で払った学費は返ってくる?

30代の女性A子さんは3年前の5月にパソコン教室に入学し、学費の50万円は一括で支払いました。 ところが入学から2か月後に妊娠していることが判明し、体調がよくなかったこともあり学校側に退学と返金を申し出ました。

飲み会の中止を予約していた店に伝え忘れたら損害賠償が必要?

Aさんは友達10人が参加する飲み会の幹事を任され、居酒屋に予約を入れました。 ところが当日、飲み会に参加するはずだった10人のうち8人が急に来られなくなってしまいました。 Aさんは仕方なくその日の飲み会の中止を決定しました。

ホームページ上の画像やイラストを無断で使用すると損害賠償が発生する?

イラストを書くのが好きなAさんは、趣味で書いたイラストをインターネット上のホームページで公開していました。 そんなAさんはある日、自宅の近くで居酒屋の入り口に貼ってあったポスターにAさんが書いたイラストが使われているのを見つけました。

飼い犬が通行人に飛び掛ってケガをさせてしまったら損害賠償は発生する?

飼い犬を散歩させていたAさんは、いつも通り犬の首に鎖をつけて歩いていたのですが、普段おとなしい犬が突然正面から歩いてきた通行人の男性に飛び掛ろうとしました。 Aさんは慌てて鎖ごと犬を引っ張ったため、犬と男性は接触していませんが、男性は驚いて …

電車の中で嘔吐物をかけられ洋服が汚れた場合の損害賠償

A子さんは残業で帰宅が遅くなり、最終電車で帰宅していました。 A子さんはドアの近くに立っていましたが、酒に酔っているように見えた隣の男性が突然嘔吐し、A子さんのスーツが汚れてしまいました。

又貸ししたものを返せないときは誰が弁償する?

会社員のA子さんは、知人から有名ブランドのネックレスを借りてパーティーに出席しました。 パーティーの数日後、今度はA子さんの家に友人のB子さんが遊びに来て、B子さんが、一日だけそのネックレスを貸してと言います。

酒の席で酔っ払っている人に殴られたり、暴力を振るわれたりしたら

居酒屋でお酒を飲んでいたAさんは、偶然隣に座った見知らぬ男性と野球の話で盛り上がりました。 始めは楽しく飲んで話をしていたAさんと男性でしたが、お酒が入るにつれてお互いに遠慮がなくなり、徐々にムードが悪くなってきました。

愛人契約や賭け麻雀などの不法な契約が破られた場合、相手に請求できるか

Aさんは結婚しているのにもかかわらず、B子さんに惚れ込んでしまい「ずっと一緒にいて欲しい、必要なお金は払うから」と提案してみたところ、B子さんは了承し、男女の関係を持ちました。 それで、最低でも月に3回以上は会い、月々の契約料として、Aさん …

旦那名義のクレジットカードを勝手に使用した場合、支払い義務は誰にある?

ある日、Aさんの妻がAさん名義のクレジットカードを勝手に持ち出して、200万円分も衝動買いをしたということを告げられました。 しばらくしてAさんのもとには200万円の支払いを求める請求書が届きました。

親が認知症になったら成年後見制度を利用しよう

Aさんには90歳になる父がいます。 1年ほど前に母が他界したのをきっかけに、父は認知症で入院しています。 Aさん自身は65歳で定年を迎え、現在Aさん夫婦に収入はなく、父の入院費はかなりの負担になっているということです。