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浮気などで夫が家を出て行き居場所がわからなくなった場合離婚できる?

結婚5年目の主婦のA子さんは、夫の浮気に悩んでいて、夫には浮気をやめるように何度も訴えてきました。
しかし夫はついに家を飛び出し、交際相手と暮らし始めてしまいました。
A子さんは離婚を決意し、役所に行って離婚届を持ち帰り署名と捺印を済ませました。
ところが、夫は携帯電話の番号を変えてしまい、最近は連絡も取れない状態で、どこにいるのかもわかりません。
A子さんは今すぐにでも離婚したいのですが、離婚届を提出することはできるのでしょうか。
浮気などで夫が家を出て行き居場所がわからなくなった場合離婚できる?

離婚は、協議離婚というかたちだと、まず両者の合意が前提になります。
それで離婚届を提出すると、それによって成立します。
今回の場合には、旦那さんが連絡全然取れないということで、両者の合意が得られないということになります。
その場合には、いわゆる裁判離婚になり、大体その事由が5つくらい法律で規定されています。
1つ目は配偶者の不貞行為で、不貞行為ということは、浮気などの行為が当たります。
2つ目は配偶者からの悪意の委棄。
具体的には、夫婦生活をする上においては、同居する、互いに助け合うなどの扶助義務がありますが、それを承知して義務を果たさずに怠ってしまったなどの場合です。
そういったケースが悪意の委棄ということになります。
3つ目は生死、生きているのか死んでいるのかが3年以上分からない場合です。
4つ目は配偶者の方が精神病になり、回復の見込みがないという場合です。
5つ目は暴行を受けていたり、ギャンブルに浸って全然生活を省みないなど、その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合です。

生死が明らかかどうか分からないという場合には、裁判離婚の事由にあたりますから、まず裁判手続きを踏まないといけません。
裁判というのはお互いに裁判する権利があるので、相手方にも離婚の裁判が起きているということを知らせないといけません。
これを実務的には送達というんですが、住所が分からないために送達が出来ません。
従って、相手方に裁判を起こそうとしても、起こせない状態ということになります。

送達に代わるものとして民事訴訟法上に規定があり、公示送達という手続きがあります。
公示送達は訴状や期日の呼び出し状などを裁判所の掲示板に貼っておくという手続きで、ある一定期間経過したら送達されたことになります。
公示送達という手続きをとるのであれば、相手方の裁判を受ける権利を言ってみれば剥奪するようなかたちになりますから、きちんと保障してあげないといけないということになり、そのためには軽々しく公示送達をすることは認められない可能性があります。

そうするとA子さんとしてはどうすればいいかというと、勤務先に対しては、夫の情報を聞いてみたり、警察にも届けたりといろんな手を尽くすことが必要になります。

従って今回の場合は、今すぐにでも離婚したいということでしたが、配偶者が3年以上生死が不明であるということが前提になります。

 - 離婚に関するトラブル

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