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パチンコ攻略法は契約解除できるか?

パチンコが好きなAさんは、先日業者が通信販売していた、「パチンコマル秘攻略法」という本を5万円で買いました。
早速その攻略法通りにパチンコ店で実践してみましたが、まったく効果がなく、Aさんは業者に「代金を返して欲しい」と電話をしました。
しかし業者側は「あなたが情報を使いこなせない、絶対儲かるとは言っていない」などと言って、代金を返さないという主張をしています。
残金の支払期限が2週間後に迫っていますが、効果のない攻略法にこれ以上お金を支払いたくありません。
この売買の契約を取り消すことはできるのでしょうか?
パチンコ攻略法は契約解除できるか?

まず最初に、特定商取引法という法律のクーリングオフ制度を使えるかどうかを判断します。
今回の事例は通信販売でしたので残念ながら、通信販売についてはクーリングオフ制度はありません。

そうすると、次は消費者契約法という特定商取引法と同じような消費者を守る法律があります。
消費者契約法には一定の要件があり、その要件に当てはまる場合には契約を取り消しでき、大まかに4つほど契約を取り消せる場合があります。
1つ目は、重要事項の不実告知。
2つ目は、不利益事実の不告知。
3つ目は、断定的判断の提供。
4つ目は、不退去、あるいは退去妨害をした場合。
この4つのケースがあります。

そうすると今回の場合には、断定的判断の提供にあたるかどうか?とういことを判断していくことになります。
断定的判断の提供というのは、具体的には、株式取引などで「将来値上がりが確実だ」とか「絶対儲かります」とか「今買った方がいい」とか、絶対や、必ずなどの断定的なことを言って、利益を確実と思わせるものであれば断定的判断の提供に当たります。
そういう場合には消費者契約法で契約を取り消すことができます。
では今回の場合に当てはめると、「マル秘攻略法」という言葉は、これをやればパチンコに勝つみたいな雰囲気醸し出しています。

しかし、業者側も「絶対にもうかるとは言っていない」とか「その情報を使いこなせないから」などと主張しています。
その通りにやっていればいいのに、あなたのやり方が悪いんだということです。
そうすると、「絶対にもうかる」とは言っていませんので、言っていないということが事実であれば、消費者契約法の「断定的判断の提供」には該当しません。

そうすると最後に考えられるのが、民法です。
民法には契約がこういう場合には契約が無効になる1つの例として、「錯誤」と言うのがあります。
例えば、その攻略法の内容が著しく粗悪だったり、広告の内容とあまりにも異なるという場合でしたら、勘違いして契約してしまったと言う場合です。
錯誤を理由とした契約は無効ということを主張できる可能性もありますが、実際にはちょっと難しいかもしれません。
このあたりは、内容をもっと精査してみないと確実なことは言えないと思います。

今回の事例はどうやら特定商取引法でいうクーリングオフ制度は使えない、消費者契約法でいう断定的判断にも当たらない、民法の錯誤もちょっと難しいということであれば、契約は有効に成立しているということになり、残金を払うしかないということになる可能性が高いと思います。

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