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交通事故の相手が未成年で収入がなく、無保険だった場合の損害賠償

いつも自転車で会社に通勤しているAさんは、普段どおり会社に向かっていた途中の交差点を曲がったところで、信号を無視して走ってきた原付にはねられ、足と腕を骨折してしまい入院することになりました。
原付を運転していたのは高校生で保険に一切入っていない上、収入もなく強制保険にも入っていないため、入院費も治療費も払えないと言われましたが、Aさんは治療費や入院費を含めた損害賠償を支払ってほしいと思っています。
このような場合はどのようにして損害賠償を受け取ることができるでしょうか。
交通事故の相手が未成年で収入がなく、無保険だった場合の損害賠償

まず、このような事故の場合は、一般的には、民法の不法行為による損害賠償請求ができます。
ところが、民法による不法行為責任というのは、被害者の方で加害者に対して、故意過失があるか、すなわち信号無視してきたということを立証しないといけなく、その立証ができなければ加害者は民法上、損害賠償請求権がなくなる可能性があります。
立証するといことは、結構難しいことなので、自動車損害賠償保障法、いわゆる自賠法というものがあります。
自賠法とは、民法では救えない被害者を救済することが目的の法律です。
被害者はこの自賠法に基づいて、事故の相手方に対して請求をしていくとことになり、具体的には、強制保険を適用していくことになりますが、強制保険にも入っていないという場合には、自賠法の中に政府保障事業制度があります。
この政府保障事業制度は、例えば、ひき逃げにあって相手がわからない場合や、相手が無保険であったり保険に全く入ってない場合などに、国が被害者に対して保障するという制度です。

また、この高校生が収入もないので損害賠償請求が支払えないということであれば、その高校生に代わって親には何か責任がないのかということが考えられます。
民法では、12歳くらいまでの小さな子供が、過失で事故を起こしてしまった場合、その子供には責任能力がないとみなし、親が代わってその損害を賠償する責任があるということになっていますが、今回のケースは、相手が高校生なので、収入がなくても責任能力はあるとみなされ、親が代わってということは、民法上は考えられません。

ところが自賠法という法律には運行供用者責任というものがあり、例えば本件の高校生は収入がなく、保険にも入っていないということから、その高校生の親が起こした事故だというふうにみなし、子供に代わって責任を負わないといけないということになっています。

したがって、今回のケースは、運行供用者責任ということで、高校生の親から損害賠償を払ってもらうことができ、それができなければ、最終的にはの政府保障事業という制度を利用することができます。
どちらの方法で損害賠償をしてもらうかは、被害者が選択できます。

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