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会社からの前借りと退職について

会社の社長に給料の前借りをお願いしたところ、快く貸してくれ、その返済分は給料から毎月少しずつ引かれていました。
半年ほどたったある日、知り合いの会社に誘われ、条件がよかったため会社を転職することを決意しました。
そこで今の会社の社長に打ち明けたところ、給料の前借りをしているんだから、辞めたければ全額返すか、もしくはその分無償で働いてくれなければ困るということを言われてしまいました。
やはり社長の言うとおりに前借り分を全額返済しないとしないと会社は辞められないのでしょうか。
会社からの前借りと退職について

前借りというのはたまに耳にすることがある言葉ですが、労働基準法では、働くことを前提として給料から差し引くということは、たとえ当事者間で合意があっても、借金をしたことで働かなければならないということが強制労働に関わるため、強行規定というかたちで禁止されています。
強制的に働きたくないけれど、働かざるを得ない状況になると強制労働となるという理由で、労働基準法上は禁止されています。
憲法で職業選択の自由が保障されており、何人も自由に会社を辞めることができ、他の職場に自由に移ることができ、職業も自由に選択できる権利があるからです。
従って、前借り分全部返済しろとか、前借りした分無償で働けというのは、労働基準法違反、さらには憲法違反にもなります。

ただし、個人の貸し借りは別問題で、あくまでも給料から前借り分を差し引くということが禁止されているので、社長個人で貸すのは、当事者間で合意されれば構わないということになります。
ですから、会社を辞めることとお金の貸し借りはまったく関係なく、お金の貸し借りの問題と働いて給料をもらうこととは別で考えなければいけません。

また、雇用の問題だけを考えると、事情で今すぐ辞めたいにも関わらず、例えば代わりの者が育つまでちょっと待ってくれと言われることもよくありますが、こういった問題はどちらかというと就業規則の問題です。
労使間の就業の規則というのは細々したものがありますから、その規則、契約に従うということになり、どういった定めをしているかになると思います。
例えば、明日辞めたいというのをすぐに認められるものかというような内容は、就業規則上は何か月か前、例えば1か月前から申し出て手続きをすることになっていると思います。
就業規則できちんと決められた手続きをすれば別に問題ありませんが、それが会社側の事情で何か月も先延ばしにするということになりますと、強制労働ということにもなりかねませんから、その辺は相当期間ということになると思います。
ただし、さらにその相当期間を超えて働かせた場合は当然、労働基準法違反ですし、場合によっては刑事罰の問題にも発展しかねないということになります。

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